台東県政府主催の「2025 藝息山海 – 台東工芸国際レジデンス交流」が正式にスタートしました。日本、アメリカ、マレーシアから3名の国際アーティストを招き、7月から8月にかけて台東での滞在制作を行います。同時に台東の優秀なアーティスト3名も海外へ派遣され、国境を越えた芸術の旅が幕を開け、台東の工芸品が世界を舞台に輝きます。

文化処によると、今年は約70名の国際アーティストが応募しました。その中から、日本の陶芸家、山下正行(Masayuki Yamashita)氏、マレーシアの織工芸家、陳芷儀(Ireen Tan Cheew Yee)氏、そしてバミューダ出身のテキスタイルデザイナー、ジョーダン・ケアリー(Jordan Carey)氏の3名が選ばれました。彼らはそれぞれ「哈匿藝術工房」「糸糸績地工作室」「Mitoliken a Loma 織物の家」にて45日間の滞在制作と交流を行います。

一番に来台したマレーシアの織工芸家、陳芷儀さんが、7月27日に「糸糸績地工作室」にて初の交流会を開催しました。会場には織物や植物染めを専門とする作家が集まり、スタジオ主宰の胡郁如(Ibu)氏と崁頂ブヌン古謡合唱団が、八部合唱と織布の歌を披露し、今後の創作活動に祝福を贈りました。このレジデンスを通じて、伝統や物語、工芸や日常生活に触れ、地域文化を尊重しながらそれらを作品に取り込むことは、まさに「恋文」であり、遠い故郷から来たアーティストが作品を通じてその地に根を下ろすことを意味します。

一方、台東のアーティスト3名も海外でのレジデンスに参加しています。陶器の人形の創作を主とする巫伊平氏は日本・屋久島の「埴生窯」へ、自然素材を扱う謝聖華氏はマレーシア・パハン州の「Sari Chempaka Art Village」へ、アミ族の伝統的な頭飾りの復興に力を入れる王建傑氏はタイ・バンコクの「Atelier Rudee」へ、それぞれ向かい、45日間の滞在制作と交流を行います。

文化処は、「藝息山海」という名称には、芸術は呼吸のように自然で緩やかでありながらも力強いという意味が込められていると説明しました。このプログラムでは6名のアーティストが集い、12点の作品を制作します。国際アーティストは台東の山と海からインスピレーションを得て、一方、台東のアーティストは故郷の風土や色彩を携えて世界各地へ赴き、手仕事で言葉を超えた繊細なつながりを生み出します。それぞれの作品は一つの詩となり、台東の工芸品に捧げる12通の恋文となります。