祖先の霊が守護する地—利嘉部落文化体験

利嘉(Ligavon) とは「肥沃な土地に生い茂るクワズイモ」という意味を持つプユマ族の言葉が語源になっている他、美しくファンタジックな印象を受ける「利卡夢」という呼び名もついています。豊富な自然資源があることからプユマ族の文化育成に貢献してきた利嘉部落は台東県卑南鄉にある中央山脈東南山の麓、呂家渓の北側に位置しており、この場所では雄大な太平洋と緑島を一望することができます。

過去には台東平原で最も力を持つ部族の一つとして数えられ、呂家望事件や馬智禮を始めとした多くの戦士や有名な人物を輩出しています。東52線(利嘉路)を西に進むと沿線上に部落らしさを見ることができるでしょう。部落が最も静かになる早朝は生命と自然の音を満喫できる時間、ここでしか味わえない静けさを堪能しましょう。

茄冬樹 圖片來源 台灣觀光旅遊網

百年の時に浸る-百齡茄冬樹(百歳の茄冬樹)

利嘉社區を散策していると、至る所に百を超える年月を過ごしてきた茄冬樹を見ることが出来ます。樹々は高く生命力に満ち溢れており、多くの植物が木の上に生い茂り独自の小さな生態系を作り上げています。言い伝えによれば茄冬樹は利嘉村に日本人が訪れ派出所を構えたり学校を建てたりした際に環境美化を目的として植えられたようです。さらに村で暮らす老人達によると茄冬樹は利嘉で他部族との戦いが起きた際は天然の監視哨となり状況の変化を村人達に警告してくれた役目もあったみたいです。この村にある茄冬樹の樹々は百年という長い時を村人達と共に、穏やかに過ごしてきたのです。

圖片來源 利嘉國民小學官網

毎年開花するロマンチックな約束-利嘉國小

創立百年の歴史を持つ利嘉國小(小学校)は、日本統治時代利嘉で軍事、教育、行政を行う為の軍事施設として建設されて多くの人材を育成し、その美しい周辺環境と豊富な樹木資源により長らく地元住民の心の支えになっていました。開花時期になると色鮮やかな花を咲かせる校舎後方にある梅園では1999年から国内外の有名音楽家を招いた「利卡夢‧梅之宴」コンサートが開かれています。この音楽観賞会は利嘉社區で暮らす住民達に世界レベルの演奏を楽しむチャンスを与えてくれると共に、このコンサートの為に沢山のクラシックファンがこの地へと訪れることから利嘉國小の知名度は打って上がり、台東で開催される恒例文化音楽イベントの一つとしてその地位を確立しています。

利嘉林道 圖片來源林務局台東林區管理處

神秘的でロマンチックな桃源郷を探索する-利嘉林道

台東県卑南鄉を貫く全長約32キロの利嘉林道、原住民達が狩りや柴刈りをする為に作られたこの古道はプユマ族の大巴六九社が狩場や農地として使用していた場所でもあり、素晴らしい自然と文化、そして原住民達の暮らしの様子が多数残されています。水土保持局台東分局(台東水道局分署)の協力により改修が行われた現在では台東のエコツーリズムを体感できる登山者やハイカー達に人気のスポットとして生まれ変わりました。

複雑な地形を持つ利嘉林道は多湿多霧のおかげで多種多様な木々と豊富な生態系が育まれ、春の終わりには蛍が飛び回り、その煌めきは林道に新たな魅力を添えています。多くのフィトンチッドが含まれた空気に包まれながら沿線上に用意された解説板を読み、自然環境とこの地に根付いた文化について知りましょう。他にも弓矢に伝統手芸、狩猟見学などの原住民文化の体験やグルメ試食といったアクティビティも用意されています。

住所:臺東縣卑南鄉臺9乙
電話:089-324121 #806
ウェブサイト:オフィシャルサイト