大鳥部落で文化体験

台東県大武鄉の南迴公路沿いに位置する笆札筏部落(大鳥部落)は美しい自然景観を一望することができる海に面した場所にあり、豊富な文化を有する大武鄉で最も人口が多いパイワン族の部落として知られています。以前は茅葺き屋根で作られた家屋が並び、その様子を上空から見下ろした際に大きな鷹が羽を広げたように見えたことから大鳥部落という名称がつけられましたが、昔からここで暮らす人々は以前の名称である盆地や沼地を意味した言葉であるPacavalj笆札筏を使用しています。

大鳥部落ig@carina.iii

大鳥部落で文化体験

かつてモーラコット風災により被害を被った大鳥部落。災害の翌年に始まった政府の復興推進運動をきっかけに部族民は「危機をチャンスに」しようと労働委員会による技術習得訓練を受けるなどの行動を行い、その過程で「有故事的布工坊-芭札筏布工坊」が誕生しました。現在は部族の若者達が部落に伝わる文化伝統工芸品の記録や保存に力を入れており、今後パイワン族の伝統文化と部族の精神を継承してゆく場所になってゆくことを願っています。

「生き残る」から「チャンスを掴む」へ、さらには「ビジネスチャンスを創る」事ができた「笆札筏布工坊」。部族の女性達に就労のチャンスを作り、刺繍や織物から始まった作品づくりはオリジナルブランドバッグの製作にまで発展しました。手提げ袋、お財布、バックパックなどの商品には部族のシンボルマークが刺繍され、現代製品と部族の伝統が融合し、製作過程に歴史を持つ部族の主力文化創作産業へと発展しました。入り口に掲げられた「大鵬展翅」の標語にあるように部族の人々は皆、自らの持つ翼で大空を飛び回る力と勇気を持っているのです。

大鳥部落では食農教育のワークショップも開講しています。ここに暮らす人々がよく知るこの場所で環境に配慮した調理方法により地元食材を調理する他、大鳥部落の人々にとって重要な意味を持つ菸草(タバコ草)について講師より文化共有教育を受け、この環境を持続しつつ共存してゆく為に生活不用品を再利用する方法や、地元の伝統工芸品へと昇華させる方法を学びます。(写真提供:IG@carina.iii)