台東市は台東県の政治と文化の中心地であり、かつては「宝桑庄」と呼ばれていました。台湾で最大の面積を誇る県轄市で、南北に細長く、地形は平坦です。4本の主要な河川が織り成す沖積扇地形を特徴とし、山と海の美しい自然景観と広大な緑地に囲まれ、散策やサイクリングに最適な場所です。市内にある鯉魚山は台東市の最高地点で、市街地を一望することができます。かつて農産物輸送に使われていた旧鉄道は、現在では歴史と文化が息づく緑の回廊として整備され、鉄花村文創園区、芸術空間などを結び、台東ならではの芸術的雰囲気とスローライフを表現しています。シンプルで開放的、そして文化的な温もりに満ちたこの都市は、世界中の人々をあたたかく迎え入れています。

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(写真提供: @cory9265)

路地裏に息づく歴史と多文化の縮図

卑南平原に育まれた「宝桑」は、現在の台東市の前身であり、さまざまな民族が交わり、歴史が動き出した出発点でもあります。行政と文化の中心として、台東市は山と海をつなぎ、多様な民族と時代の記憶を重ねながら発展してきました。

清朝時代の開拓から日本統治時代の市区改正を経て、現在の姿が形づくられました。日本人は鯉魚山のふもとに神社、市庁、学校などを建設し、都市の基盤を築きました。当時の「庁前通」は現在の大同路として残り、当時の面影を残しています。

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宗教や近代思想もまた、街の風景に深い影響を与えました。天主教白冷会の宣教師たちは近代建築様式を導入し、スイス人建築家による公東聖堂はその象徴となりました。また、建築家呂阿玉による三海百貨も台東の近代化を象徴する建築として知られています。現在の台東市を歩けば、歴史と文化が交錯する趣が静かに感じられ、この小さな都市ならではの独特な魅力が漂っています。

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