
(写真提供:@a_tainan2002)
スローシティの暮らしの中、大地の律動を取り戻す
鹿野は「鹿が多く生息する原野」を意味し、清代末期以降、さまざまな人々の移動を見守ってきた土地です。アミ族や平埔族、さらに日本統治時代の移民村の形成を経て、サトウキビやコーヒーなどの農業が発展し、日本式の街路構成や鹿野水圳といった歴史的景観が今も残されています。戦後には外省人出身の退役軍人が入植し、地域文化はより多様なものとなりました。

(写真提供:@backpackerdog_hostel)

(写真提供:@kltw2016)
現在の鹿野は、スローシティの理念に呼応した暮らし方で知られ、有機農業、コミュニティ再生、文化保存を大切にしています。日本時代の神社修復、客家(ハッカ)花布灯籠の体験工房、台湾国際バルーンフェスティバル、そしてパラグライダー体験など、伝統と革新が共存し、農村ならではの生命力と美しさを映し出しています。茶畑を巡るサイクリングや部落の味を楽しむ食体験、図書館で静かに過ごすひとときなど、鹿野は歩みを緩め、持続可能で暮らしやすい文化集落へと人々を誘います。
紅烏龍茶とパイナップルが織りなす鹿野の香り
鹿野を代表する味の一つが、熟した果実と蜜のような香りを持つ紅烏龍茶です。茶葉は比較的高い程度まで発酵・焙煎することで、烏龍茶の甘い余韻と、紅茶の深みのある味わいをあわせ持ちます。水出しでも温かく淹れても、それぞれ異なる風味を楽しめます。地元の茶農家は、紅烏龍茶をティーバッグや茶菓子、デザートにも取り入れ、山坡の茶畑で育まれた香りを、日々の食卓や土産品へと広げています。

(写真提供: 台東紅烏龍)

(写真提供: 博雅齋自然茶園)

(写真提供: 饗嚮台東)
日差しに恵まれた気候は、鹿野のパイナップルに豊かな甘みを蓄えます。新鮮なまま味わうほか、農家ではドライフルーツ、ジャム、パイナップル菓子、氷菓などに加工し、収穫期の味をより長く楽しめるよう工夫しています。茶の香りと果実の香りは一見異なるものですが、どちらも鹿野の季節の移ろいと農作業のリズムを伝えています。一杯の紅烏龍茶や一口のパイナップル菓子を通して、ほのかな香りと甘みの中に、この縦谷の農村ならではの物産の特色を知ることができます。



