原民服飾

肥沃な土地を持つ台東では、オーストロネシア語族の人々が何世代にもわたって祖先から継承してきた知恵を織り込んだ文化刺繍を作っています。

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(写真提供:蓋亞那工作坊kaiana)

肥沃な土地を持つ台東では、オーストロネシア語族の人々が何世代にもわたって祖先から継承してきた知恵を織り込んだ文化刺繍を作っています。崁頂部落で暮らす布農族のIbuさんは彼女の母親である劉金蕉さんと共に日本青岡種、復興紅心種を含む五種類の苧麻(ナンバンカラムシ)の栽培を行っています。収穫から製作までどの工程にも伝統的な知恵が使われており、最終的には温かみを感じる衣服が出来上がります。南王部落では姆姆傳家寶工作室の職人達が卑南族に伝わる伝統技術の保存に尽力しています。彼らは卑南族の伝統家屋建築の再現だけではなく工房メンバーの一員として年長者から伝統知識を学び、そこに新たな要素を取り入れることで百年続く工芸を現代に蘇らせています。

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(写真提供:姆姆傳家寶工作室)

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(写真提供:姆姆傳家寶工作室)

台東の職人たちはこの貴重な織物工芸を後世へと継承する為、多角的なアプローチで復興に取り組んでいます。伝統技法に現代デザインを取り組むといった製品改革を行う他、実店舗とオンラインプラットフォームにて多くの販路を開拓し、文化的な特徴を持つブランドイメージの構築に力を入れて取り組んでいます。これらの取り組みによる成果は石山部落で顕著に現れています。部族の女性達は伝統的な月桃織物技術を駆使してユニークな麦わら帽子や日用品の製作などを行い、台東糖廠文創園區には実店舗を構えています。

大海的客廳

(写真提供:大海的客廳)

原材料の収集から織物のデザイン、マーケティングプロモーションに至る経過に部落住民が積極的に参加することで就労機会を創り出し、若者がこの産業発展に参加するためUターン帰郷するきっかけにもなっています。

大海的客廳(2)

(写真提供:大海的客廳)

台東県政府はこのように一歩進んだ文化創作を支援するため台湾初となる原住民族文化創意產業聚落(TTICC)を立ち上げ、今後人材育成と産業発展を行う為の重要な拠点にしてゆく為に職人達が作ったデザインの最適化や新製品の開発、領域を超えた協力体制づくりなどを行う支援をしています。

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(写真提供:@taitung.ttstyle)

近年、台東県政府は「スローエコノミー」というコンセプトを用いて、革新的な発想で伝統工芸を現代的に展開しています。台東の職人達は伝統織物工芸に3Dモデリング技術を用いてデザインの最適化を行い、デジタルプラットフォームを用いてグローバルマーケティングを行う他、オンライン学習プラットフォームを開発し地域に制限されることなく伝統織物技術の継承ができるテクノロジーを開発するなどデジタル技術を積極的に取り入れています。この革新的な戦略は2024年FINDデザインフェアアジア(亞洲設計博覽會)にて大きな反響を呼び、台東パビリオンはその伝統技術と現代デザインを見事に融合させた工業製品によって飛び抜けた成果を表しました。

Find亞洲設計博覽會

台東の織物文化の国際影響力を高める為、台東県政府は芸術家達が交流し合うことで創作意欲を刺激させる「南島漣藝」アーティストインレジデンス計画を推進しています。タイ・シンガポール・トンガから訪れた国際芸術家達が台東滞在中に現代テクノロジーによって地域の要素と現代デザインを融合させた伝統織物技術を学び作品製作を行いました。また、台東の芸術家王渝菁さんは国際文化交流を行うためにマレーシアのBorneo Laboratoryにあるアーティストインレジデンスに参加し台東の伝統織物技法と現代デザインを融合させ、国際市場で評価される文化的な作品製作を行いました。

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南島漣藝 授權ok

(写真提供:南島漣藝)

このような領域を超えた創作活動は台東工芸の持つ適応力を見せつけただけではなく、オーストロネシア文化の持つ独特な価値を世界に向けて発信してくれています。またそれと同時に台東は人材育成や革新的な研究開発、そして市場の拡大に至るまでの完璧な文化産業ネットワークを構築し、伝統工芸を持続的に発展させてゆく為の産業生態系を作り出しました。このような伝統と革新の融合により台東は今独創的な文化創造の道を歩み始めており、この地に伝わる文化遺産が世界の舞台で素晴らしい輝きを放ち始めています。

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