記憶の中の黃金山
卡夫龍安文化園區は、パイワン族「黃金山部落」の口承歴史に基づき誕生し、これは施雄偉族長が長年抱き続けた夢の実現である。海外で事業に成功した彼は、ルーツを探しパイワン族の伝統的な生活を復元しようと尽力した。彼はこう語る:「最大の収穫は、再建の過程で私たちの言語や伝統的建築の知識が一片一片再現されていくのを目の当たりにできたことです」。近年、施雄偉は部落の祖霊の聖地を買い戻し、一つ一つの煉瓦で家を再建し、原住民の文化資産を保存するとともに、族人の記憶を呼び起こし、祖先の智慧とのつながりを取り戻そうとしている。

(写真提供:台東県政府)

(写真提供:台東県政府)
伝統建築に宿る智慧の継承
2025年5月、卡夫龍安南島文化交流園區が金峰郷歷坵部落に完成した。台東県政府と施雄偉は協力し、パイワン族の男祭司家屋、女巫師家屋、穀倉保種センターの三つの伝統建築を建設した。これらは文化の継承を象徴するだけでなく、原住民族の持続可能な智慧をも体現している。建材の選定から構造設計に至るまで、細部にはパイワン族祖先の智慧が込められており、文化知識を学ぶための実践的な場となっている。
台東県の饒慶鈴県長は「園區の開設を通じてオーストロネシア文化の国際交流を促進したい。県政府は台東がオーストロネシア語系の一員となることを全面的に支援する」と述べた。また歷坵部落のリーダーである謝東華は「この園區はますます発展しており、我々の素晴らしい文化を未来へと継承する役割を果たしてくれるだろう」と期待を寄せた。この園區は伝統を保存するのみならず、過去と未来をつなぎ、台東における原住民文化の発展に新たな原動力を注ぎ込んでいる。


(写真提供:台東県政府)
オーストロネシア文化交流の国際的ハブ
園區が完成する前から、台東県政府は施雄偉と協力意向書を積極的に締結し、文化の復興とオーストロネシア文化の国際交流ビジョンの推進に取り組んでいた。そして卡夫龍安文化園區を台東におけるオーストロネシア文化国際交流の重要拠点と位置づけている。県政府によれば、園區はすでに重要な文化教育の場となっており、今後はこの場所を中心に台東をオーストロネシア文化交流のハブとして発展させていくという。
また県政府は、オーストラリア、ニュージーランド、南太平洋地域の原住民族との文化、経済、観光分野での協力を促進し、共にオーストロネシア文化の智慧を広めることを計画している。将来的には、台東博覧会において園區が原住民の伝統的智慧を示す重要な場となる予定である。

(写真提供:台東県政府)

(写真提供:台東県政府)
部落共管:土地と文化の持続的な道
卡夫龍安文化園區は、文化復興の場であると同時に、部落による土地共管の革新的なモデルでもある。園區は歷坵部落に位置しており、同部落は本年度、県政府の部落共管試行計画の一つに選ばれている。共管モデルを通じて、族人が園區の文化復興の目標と結びつき、伝統文化を基盤に土地と自然資源を管理しながら生活を維持し、文化を継承することで、部落と自然が共生する智慧を体現している。


(写真提供:台東県政府)
このような「スローエコノミー」の発展モデルにより、原住民族は文化的主体性を保ちつつ、自らの意思で土地資源を持続可能に経営することが可能になる。台東県政府原住民族行政処は、豊かで整ったパイワン文化の基盤のもと、園區が今後、原住民文化の復興、国際的な持続可能なエコツーリズム、産業交流の拠点となり、県内における国際的持続可能観光の模範地域を築くことを期待している。卡夫龍安文化園區の設立は、オーストロネシア語系文化をつなぐ架け橋となり、台湾が国際オーストロネシア文化の舞台において独自の地位を確立する助けとなる。
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