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Taitung Times 2026年第5号 ヘッダー
書中に黄金の家あり−
台東・サスティナビリティの未来図

世界が自然との共生のあり方を模索する中、山と海に抱かれた台東は独自の穏やかな歩みですでに一つの答えを出しています。2026年、私たちは「サステナビリティ」を核に据え、交通網の低炭素化、廃棄資源に命を吹き込むクリエイティブな再生、そしてデジタルノマドや企業の「スロートラベル」がもたらす社会の流動性など、この街の生命力を再構築しています。本年度のTaitung Timesでは、台東がいかにして「スロー」を土地を守るための強靭な力に変え、イベント、観光、政策のすべてを、この清らかな地を守る実践へと繋げているかをご紹介します。軽やかな足取りで、地球と共生する未来を描き出す台東の姿を、ぜひご覧ください。

山嵐をイメージしたデザインで蘇る、公共空間の新たな姿
青空の下、リニューアルオープンした台東県立図書館の正面入口

台東県立図書館のリニューアルオープンと変容は、文化の持続可能性と環境との共生を公共建築で具現化した先進的な取り組みです。14年におよぶ綿密な計画と度重なる入札不成立を乗り越えて完成したこのプロジェクトは、張枢建築事務所が統括設計を担当しました。「山嵐」および「街のなかの山」をデザインコンセプトに掲げ、東海岸に連なる美しい山並みを独自の都市建築へと昇華させています。
外観に配された連続する傾斜面と斜め屋根のフォルムは、台東の実際の山際線と調和し、美しい対話を奏でます。さらに、メインエントランスをあえて後退させることで、40年前に建築家・呉明修氏が手掛けた旧館のシンボルである赤レンガ壁をそのまま残し、印象的に引き立たせています。新旧の建築が自然に溶け合う設計は、地域の歴史や街の記憶に対する深い敬意を表したものであり、歴史的記憶と現代の公共空間が共存する「文化のサステナビリティ」を見事に達成しています。

空間構成においては、深い庇と半屋外の回廊によって前方の緑地や文化広場とスムーズにつながり、東向きの外壁には木製ルーバーを効果的に配置することで台東の強い日差しに対応しています。こうした自然環境に適応した環境配慮型の設計により、空調や人工照明への依存を大幅に削減し、利用者に快適な読書空間を提供しています。
総事業費8億300万台湾元を投じたこの図書館は、公共空間としての機能美を高めただけでなく、旧館が持つ歴史的資産を現代建築のなかに蘇らせ、歴史の深みと環境への優しさを兼ね備えた台東の新たな文化的ランドマークとなりました。

風土の記憶と知の継承: 
「台東探索館」が紡ぐ体感型カルチャー体験
色鮮やかなリボン状の吊り下げ展示と中央のインタラクティブ展示台がある台東探索館の展示空間

文化の持続可能性を支える鍵は、地域に刻まれた歴史の記憶を守り、世代を超えて知を継承していくことにあります。台東県立図書館では、新館1階に210坪の広さを誇る「台東探索館」を開設しました。県政府が細部までこだわり抜いて企画したこの空間は、館全体を代表する文化的シンボルであり、台東を立体的に読み解く「体験型ダイジェスト」の役割を果たしています。教育的価値と温もりを兼ね備えたこの「マイクロミュージアム」は、地域文化の継承を深め、オーストロネシア文化の故郷としての未来像を育む持続可能なミッションを担っています。

館内は「台東の探索」「時空」「文学」「音楽」「芸術」「祭礼と行事」「宗教」「スポーツ」の8つのテーマエリアで体系的に構成されています。3万年に及ぶ台東の壮大な歴史をはじめ、多様な原住民族の信仰や伝統儀礼、地域の風土にまつわる物語が、多彩なマルチメディア体験や没入型演出によって生き生きと表現されています。
具体的には、足元の床面に投影される「歴史の川」、水墨アニメーションで綴られる地元の民話、息を吹きかけるとメロディが流れるインタラクティブな音楽装置、アートの変遷を立体的に見せるジオラマ、伝統的な祭りやアスリートたちの輝かしい功績を体感できるコーナーなどが設置されています。

静と動を融合させた体験型の展示手法は、従来の鑑賞スタイルにあった心理的距離を解消しました。地元に暮らす人々はもちろん、初めて訪れた旅行者も、30分から3時間ほどの滞在を通じて、人と土地との深い結びつきを肌で実感することができます。台東探索館は、臨場感あふれるストーリーテリングを通して、地域が育んできた文化的資産を学びの場へ凝縮させ、次世代へと受け継ぐかけがえのない記憶の財産を構築しています。  

あらゆる世代に開かれた知の拠点:
スマート機器が支える「情報アクセシビリティ」
台東県立図書館の24時間返却機を備えたセルフ貸出・返却エリア

社会の持続可能性における本質的な価値は、誰もが公平かつスムーズに利用できる学習環境を整え、情報や知識へ平等にアクセスできる権利を守ることにあります。台東県立図書館は、館内の空間設計において「多世代共生」の理念を追求し、あらゆる年齢層やニーズに応える多様なエリアを構築しました。

なかでも、12歳以下の子どものために設けられた170坪の「ファミリー読書エリア」は、遊び感覚で本に親しめる工夫が凝らされています。起伏のある丘を模した空間、谷間のような本棚、星空を描いた天井など、子どもの探究心を刺激するデザインが広がります。エリア内には、子どもの身長や目線に合わせて作られた「ピクシー自動貸出機」を設置。自ら機械を操作して本の貸出・返却を行うことで、幼少期から自主的に学び、公共設備を賢く活用する習慣を育みます。  

このほか、24台の検索用PCや全巻揃った人気マンガを楽しめる開放的な中二階の「中高生・マンガエリア」、シニア向け新聞・雑誌コーナー、マルチメディア視聴エリア、さらには98席の座席に座席予約システムと2段階オートロックを導入した学習室なども完備しています。こうしたスマート設備とバリアフリー設計の融合により、年齢やデジタルリテラシーによる学習格差を解消し、子どもからシニアまで全員が等しく知識に触れられる包摂的な社会基盤を確立しています。  

本の循環とスムーズな流通:
相互貸出とフレキシブルな管理メカニズム
木製の書架回廊と石壁に飾られたオレンジと緑の装飾パネルがある図書館の吹き抜け空間

公共図書館の蔵書を効率的に循環・活用することは、資源のサステナビリティと知識の公平な共有を実現する重要なステップです。台東県立図書館のリニューアルオープン後、地域の読書熱は一気に高まり、月間貸出数は約2万冊へと急増。プレオープン期間中だけで7万人以上が来館し、2,000枚の新規利用カードが発行されました。

蔵書がコミュニティ内で停滞することなくスムーズに回るよう、館側は体系的な貸出・返却リマインド制度を導入しています。返却期限の3日前の事前お知らせメッセージの配信、3日間の延滞免除期間の設定、明確な利用停止および紛失補償ルールなどが整備されました。  

また、開館から40年以上の間に未返却となっていた約1万冊の書籍に対しては、スタッフが直接お電話でやさしく声をかける「本を家に帰そう」プロジェクトを実施。利用者が延滞状況を解消して再び図書館を利用できるようサポートし、貴重な本を書棚へと戻す取り組みを進めています。
さらに県政府文化處では、市町村図書館同士を結ぶ「館間相互貸出サービス」や配送プロセスの見直しを継続的に行っています。広域での本の手配にかかる時間を短縮し、館員のスキルアップや破損・老朽化した書籍の計画的な整理を加速させることで、公共資源の運用効率を大幅に向上させました。こうした地域を超えたリソースの循環システムにより、都市部から過疎地域まで、誰もが等しく本と出会える環境が守られています。

地域をつなぐ共創の場:
多様な世代が集うサステナブルな文化的ハブ
台東香草の緑色のバナーと鉢植えが並ぶ図書館コーナーで本を見る来館者

現代の公共図書館が持続可能な発展を遂げるためには、単なる「本を置く場所」にとどまらず、地域コミュニティを固く結びつけ、文化交流を広げるハブへと進化する必要があります。台東県立図書館では、「人を呼び込み、暮らしから読書を育む」という持続可能なプロモーション戦略を掲げ、多彩な企画展やコミュニティ活動を通じて、読書体験を市民の日常へ浸透させています。

一例として、2026年の台東EXPOでは「共編台東 Co-Editing Taitung」をテーマにした企画展を開催。地元のクリエイター9組と外部のクリエイター9組を招き、手紙のやり取りやフィールドワーク、素材の交換を通じたコラボレーションを実施しました。「Cast Off! 港のマルシェ」との連動により、1万人以上の来館者が2階から4階の展示スペースを訪れました。  

また、「本の広場マルシェ」や「台東ハーブ図書館」といったテーマ展も開催。地元のハーブ産業、食農教育、ハンドメイドクラフト、音楽ライブ、おすすめ本の紹介などを融合させ、五感を通して本と土地のつながりを再発見する機会を提供しました。  

こうして図書館は、各地域の文化資源や周辺の文化施設をスムーズにつなぐだけでなく、地元の風土と国際的な視点を結ぶ架け橋としての役割も果たしています。地域の「共編」や世代を超えた参加、体験型イベントによって育まれた人々のネットワークにより、台東県立図書館は地域イノベーションと持続可能な未来を生み出し続ける、活気に満ちた「文化的ハブ」となっています。  

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