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Taitung Times 08.2022
スローエコノミー:
現実的かつ自然に沿った経済モデル
2018年の年末に就任されて以来、知事はこの「現実的かつ自然に沿った経済モデル」というスローエコノミーを大きな政治方針として進められてきました。この中には知事の革新的な循環型経済についての考えのみならず、県政府の立場から国際社会で重視されている問題に対する解決策として、地域が一丸となって社会面や環境面で取り組むべきことも含まれています。

もちろんこの中には国連のSDGsとAFHCの憲章文書の内容が取り入れられ、国際的なトレンドに沿った政策決定でもあります。スローエコノミーの経済の核は、循環型経済です。持続可能な実践によって生み出された資本によって駆動する経済です。これは伝統的な直線的経済の運営方法とは全く対照的であり、台東の経済の方向性と考え方は昔のような「取って、作って、捨てる」というものよりも、地元の農業や観光業などの持続可能な産業を支援することに目を向けています。

例えば、台東の豊富な原住民文化を活用し、県政府は地元の部族が料理や文化を口述する技術を磨くためのトレーニングや資源を提供し、地元の産物や文化を学ぶ体験を作り、持続的に収入を得られるようにしているのです。さらに県政府は潜在的な客層を拡大し、台東全域にわたる業者の収入源を増やすため、英語トレーニングプログラムの開設も始めました。台東の豊かな農業・美しい自然・多様な原住民文化など、台東にしかないものを中国語と英語を話す人に提供し、これらの方々は自然に内面から影響を受け、この地をより深く知りたいと思う人だけが集まってきます。台東のスローエコノミーの持続可能性を高めると同時に、台東のユニークなアイデンティティを二重に保持することができるのです。

知事の目には「来訪者は一回限りの交流(来て去っていく)ではなく、この地友人として定期的に訪れ、何が起こっているかを見に来る存在」として映っており、そんな知事の好きなスローガンは「一万人が百回(台東)訪れる」です。台東を訪れる一人一人が重視し、気を配り、これらの方々が社会的、経済的影響をもたらすことに認識していることがわかります。スローエコノミーの社会的影響は広範囲に及び、県民生活の様々な側面に影響を与えています。台東は台湾の他の地域や先進国と同様、出生率の低下と低迷による高齢化社会が進行しています。その結果、高齢者の割合が増え、それに伴った老齢に伴うあらゆる医療上の合併症やリスクが発生しています。

おそらく、同県に導入されたスマートシティ技術の中で最もインパクトがあったのは5Gで、同県の救急隊が住民、そして最も重要な高齢者に遠隔医療サービスを提供できるようになったことでしょう。 台東は細長い形をしているため、救急隊員は長い間、離れた場所にある救急要請にタイムリーに応答するのに苦労してきました。 この新しいインフラのおかげで、2006年にはわずか6%だった台東県の病院前救命率は、2022年には33.8%に達しています。

スローフード・フェスティバルは、スローエコノミーが当県の持続可能な未来に及ぼす影響を例証するものでもあります。使い捨てのプラスチック製品が禁止され、再利用可能な容器の普及を図る中、スローフード・フェスティバルは「グッド」「クリーン」「フェア」という概念を提唱しています。来客は再利用可能な容器だけを使い、「クリーンフード」を消費します。「フェアな食」とは、サービスや商品に適正な価格を設定することで、円満な取引を実現することです。このように、スローエコノミーの構成要素を完璧に融合させたものが「スローフード」です。スローエコノミーは、経済・社会・環境という3つの中核的な側面のうち、どれか1つだけに固執することなく、むしろ有機的に重なり合っている例です。スローエコノミーは抽象的で難解ですが、台東の生活のあらゆる面に遍在しており、知事と県政府全体が台東と県民を未来へ導くための方向性を示しています。というわけで、Taitung Timesは今年中に台東のスローエコノミーについて深く掘り下げる内容をシリーズで展開させる運びになりました。台東のスローエコノミーについて、よりディープな事例など掲載し、自治体としての政策や意思決定の現状に光を当てたいと考えています。台東にゆかりのある方、台東の産業に関心のある方、この一年間のTaitung Timesをどうぞお楽しみください。

食が我々を変える
スローフードという運動はイタリアの草の根運動として、ローマのスペイン階段にマクドナルドが開設されることに抗議するデモから始まりました。1986年の発足以来160カ国以上がこの運動に参加し、「すべての人々が、身体によく、生産者にもよく、地球にもよい食物にアクセスし、楽しむことができる世界を 」という理念を掲げています。

スローフードは、「グッド」「クリーン」「フェア」という3つの基本原則のもと成り立っており、グッドとは質の高い、風味の良い、健康的な食品を指し、クリーンとは食品の生産が持続可能であることを表します。そしてフェアは、消費者に適正な価格を提供し、食品業者に適正な条件を提供することを指します。

2012年にいわゆる『産地食卓』プロジェクトとしてスタートしたスローフードフェスティバルはもともと台東県の知名度向上と国際化を目的としていましたが、今では台東県の定番へと進化し、2017年から毎年開催されるようになっています。実際このイベントは、持続可能な食生活の促進やコミュニティ形成の触媒として、また現地のレストランに新たなビジネスチャンスを提供する役割も担っています。使い捨てのプラスチック製品を排除し、リサイクル可能な容器を使用することが世界で流行り始め、台東も同じくこの問題に着眼し、中途半端なアプローチではダメなことを知る私たちは浪費をなくすことに力を入れ始めました。ここで、再利用可能な容器の登場です。

フェスティバル当日は、使い捨ての容器の提供は一切禁じられております。このような心構えを身につけることで、使い捨てから再利用への転換を促すことが期待され、さらに廃棄物をゼロにする食の循環が生まれ、スローエコノミーの3つの柱のうちの1つを満たすことができるのです。スローフード・フェスティバルは、その社会的、経済的な柱において、スローエコノミーの定めるガイドラインに合致しています。ビジネスが行われ、世間話が弾み、食事とその準備のために金銭のやり取りが生じ、社会的・商業的な交流が効果的に行われ、そのために地元の食材と人材のみが使用されます。このことは、もし地元産でない食材を使った場合、スローエコノミーが掲げる持続可能で環境に優しいという性質と相反することになるという点で重要なことなのです。食品を含む「モノの輸送」によって大気中に放出される汚染物質が、私たちの環境に壊滅的な影響を及ぼしていることは、不愉快な事実です。廃棄物とは、温室効果ガスのような輸送の副産物、あるいは文字通りの意味でのゴミのことで、理想的には廃棄物ゼロが求められます。そして廃棄物ゼロでなくても、せめて廃棄物の削減を目指さなければなりません。このため、世界中でローカル化が進んでおり、故郷の民衆を支えるだけでなく、人類が排出するゴミの総量を制限することができるのです。それゆえ、地元の食材を使うことが重要視され、注目されているのです。

当初、フェスティバルに参加されたブースでは丈夫なバナナの葉や月桃の葉で食品を包み、お客さんに提供していました。しかしそのうちに、この包み方は葉の過剰な収穫を招き、地域の生態系を破壊してしまうため、持続可能ではないと考えられるようになったのです。しかしこれもまた、リピーターが今後のスローフード・フェスティバルを理解し、無駄を省く姿勢を身につけるために必要なステップだったのかもしれません。3,300人以上が参加した2019年のスローフードフェスティバルでは、ゴミは大きな袋2つだけでした。導入から10年、14回を超えるスローフードフェスティバルは5万5千人の人々に楽しまれ、台東は今、国際舞台で高い知名度を誇っているのです。台東のスローフードフェスティバルは、2021年10月に公益財団法人日本デザイン振興会から「地域活性化グッドデザイン金賞」を受賞しました。その2ヶ月後の12月には、台東のスローフードフェスティバルが初めて県外の台北で開催されました。

このプロジェクトが発足してから11年後、台東は国際的なトレンドに沿うだけでなく、住民の知らない理想を導入・適用し、成功した先駆者として、他の自治体にも真似されるようなロールモデルとして国際的に認められるようになりました。どんな良い計画でもそうですが、それに相応する時間、注意、配慮が必要で、このサクセスストーリーは知事のスローエコノミーの創造と、それが台東県政府に与えた方向性と目的意識なしには実現し得なかったのです。

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