(写真提供：@saturday_suburb )
朝霧の中、台東の縱谷では黄金色の稲穂が風に揺れています。この豊かな大地は、火山性土壌の栄養、澄んだ山の湧き水、そして温暖な日差しに恵まれ、稲作に最適な環境を提供しています。稲米の珪酸体の考古学的発見により、台東には4,000年前から独自のインディカ米文化が存在していたことが確認され、独自の稲作伝統が形成されてきました。これは祖先の知恵を受け継ぐものであり、台湾の農業史においても貴重な遺産となっています。近年、台東県政府は環境に優しい農業を積極的に推進し、台東米ブランドを確立することで、この土地の農業発展に新たな活力をもたらしています。
(写真提供：@david_huang_taitung )
季節の移り変わりとともに、縱谷の稲作は年に二期の自然のリズムに従って営まれています。第一期は2月から6月、第二期は7月から11月にかけて行われ、各工程には伝統農法の精髄が込められています。農民はまず田を耕し、水を張り、緑肥を土に鋤き込み、その後苗を植えます。昔は田植えはすべて手作業で行われていましたが、現在では機械が補助する一方で、施肥や除草などの重要な作業は依然として農民の細かい気配りが求められます。稲穂がたわわに実ると、収穫の時期が到来します。休耕期間には、農民は菜の花や大根などの作物を植え、田畑の景観を美しくするだけでなく、土壌の栄養価を高め、持続可能な農業循環を実現しています。
(写真提供：@saturday_suburb )
広がる稲田の景色だけでなく、この地には深い農村文化が息づいています。電光部落では、アミ族の人々が1870年から稲作と共に生きてきました。彼らは長老から受け継がれた知恵を守りながら、現代農業と伝統的な生態知識の共存を図っています。毎年秋の豊年祭は、収穫への感謝を表す儀式であり、稲作文化と部落生活の深いつながりを象徴しています。
(写真提供：池上鄉農會)
この豊かな大地では、伝統的な農法と革新的な技術が調和しながら発展を続けています。88歳の池上米農家：謝美国は有機栽培の精密な管理を実践し、2019年の日本の米・食味分析鑑定コンクールで金賞を受賞し、台湾の米が初めて賞を得る快挙を達成しました。一方、若手農家の魏瑞廷はブロックチェーン技術を活用し、池上米を国際市場へ進出させ、米国アマゾンで販売するだけでなく、バチカンに3度提供し、教皇に台湾米の独特な風味を楽しんでいただき、台東米業の国際競争力を示す象徴的な出来事となりました。
