台東は台湾東部に位置する純朴な農産地で様々な農産物を生産している事で有名です。この肥沃な土地で環境に優しく、自然と共生できる方法により栽培された台東産の釈迦頭(バンレイシ)は「台東のエメラルド」と呼ばれ素晴らしい品質を保っています。

好時果子 (3)

(写真提供:好時果子 )

台東産の釈迦頭は栽培過程で化学肥料や農薬を一切使用せず、農家の人々に代々受け継がれてきた知恵と現代の生態技術を組み合わせた持続可能な農業により栽培されています。ここでは草生栽培を採用しており、果樹園に蔓延る下草をあえて残す事で土壌に天然の養分を残すと同時に多くの生態系をその場所で育んでいます。除草剤を使わず草生栽培を行うことで下草の根を利用し土壌を安定させて保水力と抵抗力を兼ね備えた強い土壌を作り、有機分解された下草が作り上げた腐植質が土壌の品質を改善させながら土地に栄養を与えてくれています。下草は土壌の水分蒸発を防ぎ、より良い生育環境を作り出しています。

研究によると、草生栽培は従来の農法に比べて二酸化炭素吸収量が2から10倍程多く、土壌の有機質を増加させるのみならず野生生物の食料源や生息地にもなっています。農家の人々は化学農薬を使う代わりに一歩進んだ対策として蜘蛛やてんとう虫、カメムシといった益虫により病気を齎す害虫を駆除する害虫対策を行っており、これらの自然農法は釈迦頭の品質を向上させるだけではなく生態バランスを維持して持続可能な環境づくりを実現しています。

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(写真提供:好時果子 )

自然農法により育てられた台東産の釈迦頭は農家の人々の長年の経験に基づき最高の熟成度に達した果実のみを収穫することにより、釈迦頭の持つ素晴らしい口当たりと風味を守っています。このような心を尽くした栽培管理のおかげで台東産の釈迦頭は比類のない高品質を保っており、消費者の心をつかんで離さない天然の宝石のように取り扱われています。

綠寶釋迦、大目釋迦そして鳳梨釋迦(アテモヤ)、これらが台東で栽培されている釈迦頭の三大品種で自然栽培により各品種それぞれの持つ独特の魅力を最大限に発揮しています。その美しいエメラルドグリーンの色合いと、きめ細やかな口当たりが特徴的な綠寶釋迦は、果肉が柔らかく果汁も多く、素晴らしい香りを放ちます。大目釋迦はその名前の通りとても大きく、繊細で綿密な果肉と昔ながらのなつかしさを感じる味わいから年配の方に好まれています。果肉がぎゅっと詰まった鳳梨釋迦は仄かに感じるパイナップルの香りで他の品種とは別格の味わいを楽しめます。

台東には環境に優しい有機農法に取り組む青年農家団体があり、彼らが取り組んできた有機農法による釈迦頭の栽培は目覚ましい成果をあげています。彼らが草生栽培にこだわり除草剤を使わず運営している「太麻里青農」果樹園は、昆虫や鳥類にとって天国のような環境になっており、他にも「好時果子」では謝謹鴻・林沛縈夫妻が力を入れて無毒栽培と有機農法の推進に取り組んでいます。これらの農家はブランド構築とマーケティング活動により台東の釈迦頭の知名度と品質を向上させています。

台東産釈迦頭の成功は各農家の努力だけでなしえたのではなく、多くの農家の協力体制と分かち合いにより得られた賜物であると言えるでしょう。農家の人々は無毒栽培を行うという前提でどのように生産量を向上させればいいか積極的に交流を行いました。個々の農家で釈迦頭に充てられる栽培面積はあまり大きいものではありませんでしたが、ブランドを構築し共同出荷体制を整えたことにより台東の釈迦頭市場でその名を轟かせるまでになりました。このように協力体制を築きあげて革新的な改革を行った事こそが台東産の釈迦頭が「台東のエメラルド」と呼ばれるようになった大きな理由であると言えるでしょう。

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(写真提供:好時果子 )

台東産の釈迦頭は美味しいだけではなく、農家の大地に対する愛情と持続可能性に対する追求が込められた果物です。この大地で自然農法を用いて釈迦頭を育むことで「台東スローフード」の精神を実践的な行動で体現しています。人と自然が共生してゆく為の知恵が詰まった結晶である台東の美味しい釈迦頭を味わい、一緒に農家の活動を応援していきましょう。