

台風が過ぎ去るたびに、台東の海岸には大量の流木が漂着します。かつては海洋廃棄物とみなされていたこれらの木材は、現在では循環型経済を推進する貴重な資源として活用されています。農業部林業署および台東林区管理処の評価と告知を経て、2021年の台風14号(璨樹)の後、特定の河口や海岸線での流木の収集が許可されました。
これらの流木の多くは細長い形状をしており、表面の損傷が少なく、構造的に優れたものが多いため、工芸制作に適した材料となっています。こうした流木の持続可能な価値を広めるため、永續方舟館では展示やイベントを通じてその重要性を発信しています。


(写真提供:山野牧人)
台東市の中心部では、一群の工芸家たちが流木に新たな命を吹き込んでいます。山野牧人創意木器工作室は、「子どもの本の家」と提携し、青年木工養成計画を立ち上げ、家庭や教育資源に恵まれない地元の若者に木工技術を学ぶ機会を提供しています。この取り組みの象徴ともいえるのが、黒い人形パペットシリーズであり、これは参加者の入門作品として位置づけられ、廃材を組み合わせて自分自身の姿を表現することで、創作の過程で自信を取り戻していきます。

(写真提供:山野牧人)

さらに東海岸を南下すると、流木を活用した創作のエネルギーがますます広がっています。2023年には永續方舟館で国産及び再利用木材展が開催され、50点以上の木製工芸品が展示されました。繊細な椅子やテーブルから優雅なヒノキ製キャビネットまで、すべての作品が流木の再生の物語を物語っています。わずか4か月の間に80以上の学校や団体が訪れ、来場者数は4,000人を超え、持続可能な創造力の可能性が広く示されました。

都蘭部落では、アミ族の芸術家Talaluki(范志明)が、流木アートに伝統文化の深いルーツを融合させています。彼は、廃棄された定置網の浮き球を組み込んだ宝抱鼓の発明者であり、さらに10年以上前の台風第8号(モラコット)の流木を活用し、アコースティックギター、エレキギター、エレアコギターの3つの機能を兼ね備えた工芸品を制作しました。この作品は、台湾の職人技術を世界に発信するための外交ギフトとしても採用されました。彼の作品は単なる流木の創造的活用にとどまらず、台東の持続可能な文化への取り組みを象徴しています。台東県政府は今後もこうした創造的な試みに対する支援を続け、流木アートの価値を次世代に受け継いでいく考えです。
