Photo Credit:fb原住民˙族委員會

台東県の南島文化音楽は、古くから地元住民の生活に欠かせないものでした。これらの音楽のバックグラウンドには自然、祖先、人と人との繋がりに対する理解、そして生活の中で生まれる感情や知恵、深い文化が込められています。

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原住民族達が用いる音と楽器は日常生活の中で重要な役割を果たしているものばかりです。中でも口簧琴(ハーモニカ)はよく利用されている楽器で竹か金属を用いて作られており、感情を表現するほか普段の遊びにも使われていてその名称は部族によって呼び方が変わり、アミ族は”Ratok”、ルカイ族は “Rubaru”、プユマ族は”Lubal”と呼んでいます。他にもブヌン族が使用する五絃琴(Toto-Toro)という楽器は五本の鉄線を共鳴箱のついた木の板に釘で固定して作られており、そこから発せられる独特の音階は自然への讃歌を表現する際に用いられます。パイワン族は伝統図案を彫り込んだ縦笛(Laringdan)と鼻笛(Pakulalu)を用いて男女の愛情を表現する他、狩猟から戻った狩人達が手にした敵の生首を沈める為に使います。プユマ族の女性達が身につけている装飾品の腰鈴や警戒鈴は歌やダンスをする際リズムを取るのに用いられます。このように独特の音色を奏でるこれらの楽器は日常生活の一部となって人々の生活に彩りを添えています。(Photo credit:FB原住民˙族委員會, IG@hao.studio2023)

昔から音楽は結婚式や祭典、狩猟に関する儀式等で用いられてきました。歌や旋律の一つひとつには決められた意味合いや物語があり、部族の歴史や価値観がそこから伝わってきます。例えばブヌン族が粟の豊作祈願に歌う「祈禱小米豐收祭歌」(Pasibutbut)や、狩猟の戦果に対する喜びを表現した「歡呼聲」(Malastapang)、そして「打耳祭」(Marasitionmal)に用いられる独特な多声部合唱はとても有名ですし、韻を踏んだ言葉を繰り返すことで命の大切さを歌う事を表す「頭韻並列式合義複句」を使用しているプユマ族、他にも豊作を祝って行うアミ族の豊年祭では音楽と踊りによって部族団結力と協調性を高めるなど、祭りや儀式における音楽活動は伝統の継承だけではなく、部族の気持ちを繋ぐための重要なコミュニケーション手段として活用されています。

台東南島文化と音楽は本土にとっても重要性が高く、様々な文化芸術活動や音楽祭で台湾と国際社会の架け橋として機能しています。中でも台東で毎年開催されている文化行事であるTaiwan PASIWALI Festivalは南島音楽と原住民文化を広めるための重要なプラットフォームになっており、昨年は6万人以上が来場しました。原住民族による伝統音楽演奏の他、現代音楽と伝統音楽を融合させた作品などがあり、南島文化音楽の持つ独特な魅力と多様性を披露することで多くの人々に台東の原住民文化への理解を深めてもらえるイベントであります。

南島文化音楽は台東原住民文化の宝であり、豊富な文化的意義と深い情熱、そして原住民の知恵が込められています。音楽の力で台東文化の持つ独特の魅力を世界へと発信することは文化の多様性を示す重要なシンボルになることでしょう。私たちは音楽を愛する人々がこの土地の声を聞き、台東原住民音楽に込められた深い意志を感じることでこの貴重な文化の保護と継承に貢献でくるよう努めます。

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