台東の部落には、魚筌や魚卡仔、竹の東屋など、多くの竹編みが受け継がれている。見た目の美しさだけでなく、複雑な手仕事の中には、代々培われてきた知恵が詰まっている。

竹を選ぶ、割る、竹ひごを削る、曲げる、結ぶ、縁を仕上げる。この6つの工程が、それぞれ竹製品の強度やしなやかさ、形を左右する。

台東で今も受け継がれる竹編みは、日用品から竹を使った建築へと広がっている。部落の長老やさまざまな技を持つ人々が力を合わせて完成させたこれらの作品はぜひ台東を訪れてみてほしい。

台東の竹細工は飾り?それとも実用品?

もともとは道具である。台東の部落で作られてきた竹製品には、それぞれ大切な役割がある。

  • 魚筌:アミ族が使う竹製の漁具。川の中に仕掛け、入口を上流に向けて魚やエビを捕らえる。
  • 魚卡仔:長浜郷忠勇村で使われてきた竹製の漁具。両端に入口があり、内側の返しによってモクズガニや川エビが外へ逃げるのを防ぐ。
  • 竹の東屋:達魯瑪克部落でよく使われる Basikaw という竹を用いる。日用品にも建築にも、同じ種類の竹が使われている。
  • 工業化やファストファッションが広がる現代でも、こうした竹製品の姿には目を奪われる。美しさの鍵は細部にあり、複雑な手仕事には機械では簡単に置き換えられない魅力が残っている。
台東の部落が建てた、緑の屋根を持つ丸い竹の東屋の空撮

(写真提供:Green Media)

台東森林公園の活水湖にある「船塗」、コンテナの上で建設中の竹構造

(写真提供:Green Media)

一本の竹が竹細工になるまでの6つの工程

その細部は、竹林から始まる一連の作業によって生まれる。完成する竹製品の形はさまざまだが、最初の工程には多くの共通点がある。

  • 竹を選ぶ:竹の根元、中央、先端、さらに竹齢を見分ける。株立ちする竹と地下茎で広がる竹では用途も異なる。
  • 竹を割る:竹割り器や刃物を使い、ほぼ同じ幅の竹片に割っていく。
  • 竹ひごを削る:縁や節を取り除き、薄く滑らかに削ることで、竹にしなやかさを持たせる。
  • 曲げる:火であぶって繊維を温め、竹を曲げながら形を整える。
  • 結ぶ:横方向、十字、T字、継ぎ足しなど、用途に合わせて竹釘、布ひも、針金などで接合部を固定する。
  • 縁を仕上げる:竹を面状に編んだ後、籐で縁をまとめ、編み目がほどけないようにする。

先に紹介した魚筌や竹製の漁具、竹の東屋も、基本的には同じ技術から作られている。美しい形だけでなく、そこには部落の人々の知恵も込められている。

夕方の光の中、完成した竹のドームの前に立つ二人、台東
天窓から光が差し込む竹の束ね輪のドーム天井、台東

(写真提供: @huchia7)

アミ族の竹製魚筌は、なぜ魚が逃げられないのか?

鍵になるのは、しっかりとした編みの技術である。東河の泰源で採集されたアミ族の魚筌の一つは、竹の枝を束ねて漏斗形に作られている。外側には上から下まで4本の籐を均等に配置して結び、底にも一本の籐を縁に沿って巻く。入口にはさらに編んだ蓋を取り付ける。魚やエビは水の流れに沿って中へ入るが、外へ戻ることは難しい。結び具合の強さによって漏斗の形が保てるかどうかが決まり、縁の仕上げ方によって魚やエビが傷つくかどうかも変わる。6つの工程と、世代を超えて受け継がれてきた判断。そのすべてが、この小さな竹製の漁具の中に詰まっている。それこそが、部落の人々の知恵である。

竹の東屋の中で座る人々と、編み上げられた竹の屋根構造、台東

(写真提供:Green Media)

「第三空間」ドームの内側から見上げた、編み込まれた竹の輪の天窓、台東

(写真提供:Green Media)

伝統的な竹編みは、どう現代建築に生かされているのか?

同じ技術を大きくすると、人が中へ入れる空間になる。台湾義築協会による竹構造作品『第三空間』は、仕事と暮らし以外の場所という意味から名付けられた。ドーム全体は100個以上の竹の束ね輪によって構成され、それぞれの単位は、部落の竹籠や魚筌で使われる縁の仕上げ方から着想を得ている。作り方も、先に紹介した6つの工程と重なる。孟宗竹は海端の紅石林道から採取され、まず知本温泉に浸して防腐処理を行う。その後、火で曲げて竹の曲線梁を作り、接合部を麻縄で何重にも固定し、最後に光を通す布で覆う。夜になると、内部の照明によって竹の輪の構造が浮かび上がり、遠くから見ると光る巨大なテントウムシのようにも見える。

複雑な竹建築を支える、長老の知恵と現代の技

このような構造物は、一人の手だけでは作れない。竹の束ね輪はまず大安高級工業職業学校で加工され、台東へ運ばれた後、公東高工が作業を引き継いだ。木工、インテリアデザイン、建築科の、約50年にわたる各世代の卒業生たちも戻り、制作に加わった。ドームに施された竹編みの文様は、プユマ部落の鄭浩祥長老が、プユマ族の文様をもとに学生たちを指導しながら、一つひとつ編み上げた。基礎となる麻縄の結びは、卡大地布の若者たちが担当した。長老の手にあった昔ながらの技術が、こうして学生たちの手へと渡っていった。

台東知本國家森林遊楽区の樹木の間に立つ「竹蝶」の薄殺構造

(写真提供:Green Media)

台東で竹アートを見るならどこ?

台東では、このドーム以外にも竹編みの技法を取り入れた作品を見ることができる。

  • 知本国家森林遊楽区の好漢坡歩道脇にある『竹蝶』。孟宗竹の薄片を接着して薄い殻状の構造を作り、地面に接する支点はわずか3か所だけ。
  • 同じ園内にある『石の子ども』。プユマ族の石生神話から着想を得て、石、黄藤、麻縄を組み合わせて骨組みを作っている。
  • 台東森林公園の活水湖畔にある『船塢』。竹構造と2基の12メートルコンテナを組み合わせた建築で、屋上からは緑島を望むことができる。
  • 達魯瑪克部落の「涼亭 lrilriya」。lrilriyaはルカイ語で「一時的に休む場所」という意味。地元の竹を余すところなく使って建てられている。

川辺の魚筌から森の中のドームへと、竹編みがどのように姿を変えてきたのか見てみたいなら、台東でこれらの場所を訪れてみてほしい。

夕方、森の中で内側から光る「第三空間」の竹のドーム、台東

(写真提供:Green Media)