「粄」は客家語で米を使った食べ物の総称で、閩南語の「粿」にあたる。水粄、甜粄、発粄、艾粄、紅亀粄なども、すべてこの仲間に含まれる。
旧正月には甜粄を蒸し、元宵節には新丁粄を作り、清明節には菜包を包む。客家の集落では、それぞれの粄が特定の季節や祭祀と結びついている。
台東県成功鎮にある東粄香は三代にわたって受け継がれてきた。朝市では7時30分から屋台の台車で販売を始め、作りたての水粄や艾粄、甜米糕はすぐに売り切れることも多い。
客家の「粄」とは?
- 「粄」とは、客家語で米を原料とする食べ物を広く指す言葉である。客家の集落には、さまざまな種類の粄がある。
- 水粄:在来米の米浆を蒸して作る碗粿の一種で、塩味と甘味の両方がある。
- 甜粄:もち米で作る米糕。旧正月に食べ、家族団らんの意味が込められている。
- 発粄:蒸し上がると表面が割れる粄。客家ではこの割れ目を「笑う」と表現し、大きく割れるほど縁起がよいとされる。
- 艾粄:ヨモギを混ぜ込んだ草仔粿で、はっきりとした草の香りが特徴。
- 紅亀粄:亀甲模様を押した赤い粄で、いわゆる紅亀粿にあたる。
- 客家の年配者の中には、集落では料理が得意でない人はいても、粄作りはほとんどの客家女性ができたと話す人もいる。母親が作る姿を見ながら、自然と覚えていったという。

(写真提供: 東粄香)

(写真提供: 東粄香)
米を3時間浸すのは、まだ始まり
昔ながらの粄作りは工程が多く、今も伝統的な方法をすべて守って作る店は多くない。台東県成功鎮の東粄香は、その一連の工程を今も続ける数少ない店の一つである。
米を浸す:毎日3時間しっかりと水に浸し、米粒に十分な水分を吸わせる。
米浆を挽く:かつては石臼を使い、一台の石臼を動かすのに2人から3人の力が必要だった。
水分を抜く:米浆に含まれる余分な水分を絞り出す。この工程で粄の柔らかさや硬さが決まる。
混ぜて形を作る:材料の配合を整え、こねて形を作り、中に餡を包む。
蒸す:米と餡をしっかり蒸し上げる。同時に加熱殺菌にもなり、保存できる期間も長くなる。
一通りの作業を終えるには、午前4時には起きて仕込みを始めなければならない。7時30分になってようやく屋台を出せるが、あっという間に売り切れることもある。
昔ながらの客家の粄はなぜもちもちしているのか?
- ポイントは、水を少なくすること。水分の割合が変われば、もちもちした食感も米の香りも変わる。東粄香では、価格がやや高い東部縦谷産のもち米を使っており、米そのものの香りが強い。一方、水粄のようなものには粘りの少ない在来米を使う。そうすることで、蒸したときに全体が一つの塊になるのを防げる。そして火加減や手の力も重要で、艾粄には自家栽培したヨモギを使い、特別な方法で鮮やかな緑色と香りを残している。草仔粿に使う干し大根の餡は、さらに手間がかかる。中火で4時間炒めて香りを出した後、氷を当てながらさらに4時間かけて混ぜながら冷ます。一方は熱く、一方は冷たい状態で、手を止めることはできない。合計8時間を経て、ようやく冷蔵庫に入れられる。

(写真提供: 東粄香)

(写真提供: 東粄香)
季節が変われば、作る粄も変わる
客家の暮らしの中で、粄にはそれぞれ決まった役割がある。いつ、どの粄を作るのかは、相談するまでもないほど生活に根付いている。
旧正月には甜粄を蒸す。丸い形にすることが多く、縁起のよさを願う。
元宵節には新丁粄を作る。子どもが生まれた家庭では、赤い粄を土地神に供えて感謝を表し、子どもの無事を祈る。
旧正月や清明節には菜包を作る。形が昔、子豚を入れて運んだ竹籠に似ていることから、豚籠粄とも呼ばれる。
祖先を祭るときには発粄を蒸す。表面の割れ目が大きいほど、翌年の運勢がよくなるとされる。
娘が結婚後初めて実家へ帰ると、母親は甜米糕を作り、竹籠に入れて嫁ぎ先へ持ち帰らせる。


(写真提供: @bobo76546969)
70年香り続ける台東の東粄香、昔ながらの製法を大切に
東粄香の始まりは1949年。創業者の羅林三妹は池上で農作業の合間に米料理や米粽を作り、列車の中で売り歩いていた。1969年、香茅産業が衰退すると、母子は成功鎮へ移った。二代目の劉榮華は、当地に客家の軽食がほとんどないことに気づき、水粄を売り始めた。また「碗粿」という呼び方も使うことで、漢民族や原住民族の近隣住民との距離を縮めた。三代目の劉俊良が故郷へ戻って店を継いだ後、正式に現在の店名を掲げた。甜米糕を小さなサイズにしたほか、端午節には肉粽や鹼粽も販売している。
わざわざ訪れるなら、先に次の点を覚えておきたい。
朝市の屋台は成功鎮農会信用部の向かいにあり、7時30分から売り切れるまで営業。
正午12時を過ぎると、中華路187号の店舗へ戻って営業する。
麻糬は1袋70元、年糕は大きな器で100元、そのほかの多くは1つ20元ほど。


(写真提供: @amy.chang.710)
成功鎮まで足を延ばせない場合は、台東市の榕樹下や老東台でも、粄食の一つである米苔目を味わうことができる。台東を訪れたら、客家の粄のために少しお腹を空けておきたい。



