毎年清明節を過ぎると、新港漁港の魚市場は少し違った表情を見せる。カジキによって形づくられていた碁盤の目のような通路は次第に姿を消し、その代わりに金色の小さな山がいくつも並ぶようになる。山の上には手のひらほどの白い紙が置かれ、重さが記されている。シイラは黒潮の暖流に乗って台東沖へやって来て、主にトビウオを餌とし、その後をカジキが追うことで、三者は太平洋の回遊に沿った生態の連なりを形づくっている。シイラが東部海域に近づく機会は年に二度ある。4月から6月は産卵期で、魚体に脂が乗る。9月から11月には、黒潮に乗ってトビウオを追いながら再び現れる。

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(写真提供:@david_huang_taitung

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(写真提供:@immeidanao

最も速く成長する魚

シイラは気性が荒く、泳ぐ速さは時速60キロから70キロに達することもあり、海の鋭い刃のような存在とされる。成長も非常に早く、半年で体長60センチを超え、1歳で成熟して産卵できるようになり、4歳ほどで一生を終える。常に泳ぎ続けているため、身は弾力があり、低カロリーである。さらに体内に蓄積される水銀が少ないことも重要で、良質なたんぱく源として食用に適している。新港漁港は東海岸最大の漁港であり、台湾のシイラの漁獲量の約7割が東部海域に集中している。新港だけで台湾全体の35%から55%を占めており、まさにシイラの本場と言える。

台東成功のシイラ 黒潮を追って来る海の虎

(写真提供:@david_huang_taitung

延縄漁:魚が自ら掛かるのを待つ昔ながらの技

シイラ漁で用いられるのは延縄漁で、台湾語では「放棍」と呼ばれている。数キロにも及ぶ幹縄に、数メートルごとに枝縄と餌付きの針を取り付け、浮き球で深さを調整する。船長は午前2時には出港し、漁場の位置を確保しなければならない。船同士が仕掛けを入れる際には7キロ以上の間隔を空ける必要があり、小型船では平均して3から5桶を仕掛ける。1桶あたり約20分かかり、夜明け前にはすべてを終えなければならない。夜明けこそがシイラの採餌の時間だからである。魚を一網打尽にする網漁に比べ、延縄漁は生息環境への影響が少なく、選択性も高い。混獲された海亀や海鳥は、糸を切り針を外して海へ戻される。

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台東成功のシイラ 黒潮を追って来る海の虎

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売れ残りの苦境から国際市場への切符へ

シイラの9割以上は米国へ輸出されているが、2019年以降中南米産の低価格品との競争の影響を受け、価格は一時ほぼ崩壊に近い状態となった。新港区漁会は2015年に漁業改善計画を開始し、台湾全体で190隻の漁船が参加している。目標は2029年に持続可能性認証基準に到達することである。認証後、輸出価格は1キロあたり60元から70元だったものが、140元から160元へと上昇した。2022年には自主管理公約も通過し、体長50センチ未満の個体の捕獲を禁止した。近年3年間のシイラの年間平均漁獲量は約1900トン、年間生産額はおよそ1億7000万元に達している。

台東成功のシイラ 黒潮を追って来る海の虎

(写真提供:新港区漁会

船倉から食卓へ広がる道

単一市場への依存リスクを分散するため、漁会はISO22000とHACCPの認証を取得した水産加工場を稼働させ、「黑潮旗跡」ブランドでシイラホタテ漬け、魚団子、魚フレイクなどの商品を展開している。また花蓮の鉄道レストランと連携し、限定の列車弁当も提供を開始した。国内市場では、台東県政府が「全校一斉給食」を推進し、新鮮なシイラを県内の小中学校の給食に取り入れている。卑南国中が先行して提供を始め、児童生徒の栄養を補うとともに、漁業者の在庫消化にもつなげている。延縄漁の労苦から、環境に配慮した漁法へのこだわり、さらに加工場や学校の食卓へと、この金色の速い刃は台東らしい持続可能な航路を泳ぎ出している。

新港区漁会

(写真提供:新港区漁会