台東県立図書館は著名な建築家・張樞によって設計され、「山嵐」をコンセプトとしています。台東の連なる山々の稜線を建築のファサードに落とし込み、斜面が重なり合う立体的な造形と、温かみのある木製ルーバーによって、霧に包まれるような軽やかな印象を生み出しています。さらに、吳明修建築師が手がけた既存館と巧みに接続され、新旧が自然に融合した空間となっています。高い天井と開放的な明るさを保ちながら、全体としての一体感も実現しています。新館の延床面積は3,450坪、地上4階・地下1階構成。大きなガラス窓から自然光を取り込み、時間とともに移ろう光と影が空間に変化をもたらします。まるで大地から育つ「知の森」のように、周囲の自然と調和しています。

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写真提供:台東県政府文化処

縦谷で本を開く

館内で最も印象的な空間のひとつが「縦谷閲覧エリア」です。大きな窓から差し込む自然光と、段状のプラットフォーム、玉石を模した座席によって、谷の中にいるかのような読書体験を演出しています。心の成長、家庭生活、経済、小説などの人気書籍が並び、訪れた人が思わず長く滞在したくなる空間です。

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写真提供:台東県政府文化処

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写真提供:台東県政府文化処

星空の草原から漫画の拠点へ

台東県政府は「全世代型図書館」という理念のもと、利用者ごとに最適な空間を設けています。親子閲覧エリアでは、星空をイメージした天井と広がる草原のような造景により、台湾でも珍しい幻想的な読書環境を実現し、多くの親子に親しまれています。青少年エリアには漫画スペースを設け、厳選された名作漫画を揃え、若い世代がリラックスしながら交流できる場となっています。高齢者向けエリアでは、多様な新聞や雑誌、ニーズに合わせた書籍を提供し、ゆったりとした時間の中で読書を楽しめます。また、海をテーマにしたマルチメディア視聴室では、1人から7人まで対応する座席配置を備え、質の高い映像体験を提供しています。

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写真提供:台東県政府文化処

スマート建築における読書の日常

本図書館はグリーン建築認証およびスマート建築認証を取得しています。館内には高さ157センチの案内ロボットが2台配置されており、館内案内や書籍検索、読書の提案などを行います。回転寿司のレーンのような自動仕分けシステムにより、返却された本は自動的に分類され、効率的な運用を実現しています。自習室には98席が設けられ、デジタル座席管理と二段階の入退室管理を導入。アプリでの予約も可能で、さらに24時間利用できる自動貸出機により、いつでも本を借りることができます。

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写真提供:台東県政府文化処

知と文化を織りなす場所

試験運用と同時に公開されたパブリックアート作品「織知」は、アーティスト成若涵と新生国小の美術クラスの共同制作によるものです。鉄を用いた透かし彫りの技法で、オーストロネシア文化のモチーフ、熱気球、バンレイシなどの地域要素を重ね合わせた壁面作品となっています。この作品は、知識と文化が織物のように交差することを象徴し、この図書館が単なる読書の場ではなく、地域の記憶と感情をつなぐ文化拠点であることを示しています。ここでは、台東の山と海の物語が、本と芸術を通してこれからも受け継がれていきます。

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写真提供:台東県政府文化処