毎年11月、モンスーンが吹き抜けると、台東の海岸線ではネーブルネーブルオレンジが黄金色に染まります。1820年にブラジルから伝わり、日本統治時代に台湾に導入されたこの希少な柑橘は、成功鎮東河郷に最も適した土地を見つけました。

柑仔山(かんざいざん、成功鎮の歴史ある柑橘栽培地)では、90年以上にわたる栽培の歴史があり、地中海型の気候と昼夜の温度差が、糖度12~13度、酸度0.5~0.8%という絶妙な味わいを生み出しています。重さ200~250グラムの果実は、副果による「へそ」のような形が特徴で、種がなく、やわらかくジューシーな果肉は「柑橘界のロールスロイス」と称されています。

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5年待って迎える甘い実り

ネーブルオレンジは、植えてから少なくとも5年で初めて収穫でき、最高の味わいに達するには7〜8年を要します。なかには10年以上の老木を保つ果樹園もあります。9月から袋かけが始まり、農家は台風や過剰な水分摂取による裂果を防ぐため、丁寧に果実を守ります。収穫期は11月から翌年1月までと短く、地元の予約で完売してしまうほど希少です。

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木材工場経営者から柑橘職人へ

張旭屏氏はかつて屏東で木材工場を経営していましたが、1982年に林業の衰退に伴い成功鎮に移住し、バレンシアオレンジの栽培を始めました。当初は品質にばらつきのある苗木を購入し、カンキツ黄龍病などの問題が発生したため、妻の蕭春連氏とともに自ら接ぎ木による育苗を始めました。1999年、省農林庁の指導を受けて台東成功柑橘健康種苗場を設立。ネーブルオレンジ、バレンシアオレンジ、砂糖ミカン、レモン、文旦などを栽培し、台湾でも数少ない高品質な柑橘苗の生産地として知られています。

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鉢苗と接ぎ木技術の革新

同種苗場では従来の素掘り苗に代わり、鉢苗を導入。培養土、パーライト、バーミキュライトを混ぜた培地で育て、病害虫を防ぎます。蕭春連氏は農業試験所嘉義分所から購入した健康な穂木を台木に接ぎ、一日約500本を仕上げます。台東県政府や農業改良場の支援を受け、成功鎮の清らかな水と石灰岩質の土壌が天然のマグネシウム肥料をもたらし、安定した品質の苗木を生み出しています。

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カンザイ山の物語は今も続く

カンザイ山は、すでに60年以上の歳月を歩み、今もその物語を紡いでいます。1938年、杉原産業株式会社が新港農場を設立し、1949年には台東区農業改良場がこの地の柑橘生育環境を優れていると確認。1950年代には台東県政府が中心となって栽培を推進しました。現在、生産班の最年少メンバーは48歳ですが、技術革新と品質へのこだわりを通して、台東の農業職人精神は今もなお受け継がれています。