紅葉谷の地熱がもたらす奇跡
台東県延平郷の紅葉谷には、細く曲がりくねった鹿野渓が流れ、その緑豊かな谷の地下深くには、熱き天然のエネルギーが眠っています。台東県は太平洋の火山帯「環太平洋火山帯」に位置し、地熱資源に恵まれた地勢を持っています。紅葉谷グリーンエネルギー温泉パークは、台東における地熱開発の重要なマイルストーンであり、台泥グリーンエナジーは2020年から地質調査と地熱発電計画を開始しました。延平郷公所および部落との十分な話し合いと調整を経て、2025年末に商業運転を開始する予定です。

(写真提供:@outdoor40046)

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(写真提供:@lafi_bon )
24時間止まらないグリーン電力
地下800メートルの深さに位置し、1キロ以上に及ぶこの地熱資源は、3基の発電ユニットを順次稼働・送電網に接続することで、安定的な1メガワットの電力供給を目指しています。将来的には、約2,500世帯の1時間分の電力をまかなうことができる見込みです見込みです。他の再生可能エネルギーと比べて、地熱発電の最大の利点は、24時間365日、天候の影響を受けずに運転できることです。さらに、燃料を必要とせず、有害な排出ガスも一切ありません。先進的な「バイナリーサイクル技術」を採用することで、冷却後の熱水も再び地下に戻して再加熱し、真の循環利用(サーキュラーエコノミー)を実現しています。これにより、台東県が目指す「再生可能エネルギー100%」に向けた確固たる基盤が築かれています。


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利嘉浄水場の画期的な取り組み
地下の地熱資源に加え、台東は地表の豊富な水資源も巧みに活用しています。急勾配で流れが速い河川は、小水力発電に理想的な条件を提供しており、その代表的な成果が「利嘉浄水場」における台湾初の水道発電所です。この発電所では、54メートルの高低差を利用し、130キロワットの小水力発電システムを設置。生活用水の供給過程において同時に発電を行うという効率的な仕組みを確立しました。

(写真提供:台東県政府 )

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部落におけるレジリエントな電力網
このシステムは、1日あたり約200世帯の電力需要をまかない、年間のCO₂排出量を336トン削減する効果を発揮しています。利嘉浄水場の成功を受けて、台東県政府はこの小水力発電のモデルを南廻地域、特に高山渓流を有する金峰郷などの部落にも拡大させました。台東の約34%の地域は台風の直撃を受けやすいため、これらの小水力システムはマイクログリッド技術と併せて、平時の電力供給はもちろん、電力を途絶させないレジリエンスの高い供給網を実現しています。
2050年 ゼロカーボンビジョン始動
将来を見据えて、台東県政府は「2050年までに台湾で初めて再生可能エネルギー100%の都市になる」という壮大なビジョンを掲げています。その電源構成は、水力29%、地熱60%、太陽光11%を予定。これは単なるエネルギー転換ではなく、地域の特性を活かしたグリーン革命とも言えます。紅葉谷ではすでに、地熱による乾燥技術を延平郷で栽培されるパイナップルやカカオなどの農作物と組み合わせ、特色ある農産加工を展開中です。地下の熱から山の水流まで、エネルギーの自立と産業の革新を同時に進める台東は、東台湾における持続可能な発展のグリーンストーリーを、その独自のリズムで紡ぎ続けています。

(写真提供:台東県政府 )