台東県成功鎮は青い海に近隣しており、深い海洋文化と豊富な漁業資源に恵まれている。

台東県成功鎮は青い海に近隣しており、深い海洋文化と豊富な漁業資源に恵まれている。毎年秋が深まるにつれ強い北東風が黒潮海流を呼び込み、旗魚(カジキ)の回遊シーズンが訪れます。成功鎮は台東で最も重要な漁業の中心地であるのみならず豊かな海洋文化を持つ貴重な場所でもあるのです。

The Interweaving Of Taitung's Marlin And Marine Culture

(写真提供:@jason_brent_0207)

新港漁港が建設された1929年当時、この漁港に「鏢旗魚(カジキの突きん棒漁)」という独特な漁法が導入されました。この古くから伝わる漁法は台湾カジキ漁業の始まりでもあり、成功鎮に独自の文化をもたらすきっかけにもなっています。カジキ漁を行うには高い技術と豊富な経験が必要とされており、漁師たちは船の先端に立ち、手に三叉竿(銛)を持ちながら波間から見え隠れするカジキの痕跡を探します。これは単なる漁法ではなく人と海の素晴らしいコミュニケーションを体現した芸術でもあるのです。

The Interweaving Of Taitung's Marlin And Marine Culture(1)

(写真提供:@tims6201)

しかし時代の移り変わりと共にカジキの突きん棒漁は伝統継承の危機に直面し、かつては200艘あった突きん棒漁船も今は20数艘にまでその数を減らしています。この独特の文化遺産を守る為、台東県政府は2019年カジキの突きん棒漁法の文化資産登録申請を行いました。これにより海から与えられた素晴らしい饗宴を楽しむと同時に持続可能な漁業に対する注目度も高まっています。突きん棒漁法によるカジキの捕獲量は決して高くありませんが、生態系に与える影響が比較的少ないことから開発発展と保育のバランスが考慮された漁法であるとされています。このような持続可能性に配慮した考え方は成功鎮にしっかりと根付いており、この美しい海岸線に新たな活力を注入してくれています。

The Interweaving Of Taitung's Marlin And Marine Culture(2)

(写真提供:@tims6201)

カジキは経済的に重要な魚であり、また成功鎮が誇る特産品でもあります。世界にはカジキが12種類おり、その内6種類が台湾海域を回遊しています。季節ごとに黒潮に乗って回遊してくるカジキの種類は異なっていて成功鎮の食卓に豊富な海の幸を届けてくれています。秋から始まる白肉旗魚(シロカジキ)は肉質が柔らかくほのかなお茶の香りが感じられ、お刺身にすると絶品です。春から秋にかけては黄金色がかった肉質が楽しめる芭蕉旗魚(バショウカジキ)が美食家たちに新たな味わいを楽しませてくれます。

成功鎮ではほぼ毎食のように新鮮なカジキ料理が味わえます。朝市の刺身から始まり、午後の魚市場で競り落とされた魚介類が夜になると丁寧に調理されてレストランのテーブルに並びます。「旗遇海味」等の地元レストランではオーナーの林昱濱が毎日自ら魚市場を訪れて突きん棒漁を用いたカジキのみをこだわって買い付けることで状態の良い新鮮なカジキを確保しています。

The Interweaving Of Taitung's Marlin And Marine Culture(3)

(写真提供: @gabi520u)

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(写真提供: @gabi520u)

この海洋資源の大切さをより多くの人に理解してもらう為、成功鎮では積極的に「食魚教育」を推進しています。旅行者はレストランでおいしい魚介類を味わえるだけではなく、さまざまな体験活動に参加できます。例えば大慶柴魚店ではかつおぶしの製作過程を知ることができ、丸昌漁行では「魚博士」の彭馨平と共につみれ作りを学べます。これらの活動は楽しむだけではなく「産地から食卓へ」の全プロセスを学びながら海洋資源を慈しむ心を育めます。

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(写真提供:@jason_brent_0207)

成功鎮のカジキ文化はただのグルメ体験ではなく、台湾東部の海洋文化について深く知るチャンスとなることでしょう。昔から伝わるこの突きん棒漁法技術から始まり現代的な水産業の発展、そして伝統的な魚市場から革新的な海鮮料理に至るまであらゆる場面で成功鎮の人々が海に対して持つ愛情と敬意が感じられます。この場所を訪れれば新鮮な海の幸が味わえるのみならず、人と海が共生する調和のとれた美しさを感じることができるでしょう。