Taitung Times 08.2022
デジタルノマド: 自由な働き方の風が台東に吹き込む
コロナ禍により、世界各地で在宅勤務という新たな働き方が流行りだしましたが、その一足先にミレニアル世代は生活費を削減などを図り都市から郊外や田舎に移動し始めています。そして近年新たに現れた働き方:デジタルノマドはより良い仕事と生活のバランスを切望するミレニアル世代の中で流行りだし、過去1年間でさらに勢いがついてきています。

2021年に辞書に登録されるほど人々に知られる様になったデジタルノマド、「旅行中に完全にインターネットを介して職業を遂行する人」と定義されており、より多くのデジタル遊牧民が旅行を始めるにつれて、滞在する場所のニーズも強えおります。そこでデジタルノマドのハブ、または村が生まれ、志を同じくするデジタル遊牧民が集まって生活を送り、働く場所であります。この流れに台東県も着眼し、デジタルノマド向けの環境を作る作業が2021年よりスタートされ、地元のパートナーと県庁の協力により、県内で適切な場所を探しております。

2020年以来、台東県は無料Wi-Fi:TTFREEの更なるアップグレード作業を始め、台東市内のほとんどをカバーし、観光客も楽にアクセスできるネット環境を提供します。新しいインフラにより、ユーザーはLINEまたはFacebookアカウントを経由してログインするだけでTTFREEにアクセスできるようになりました。これも将来、デジタルノマドを台東へ惹きつける要因の一つになることでしょう。

交通面から見直しますと、県内での移動がよく不便だと言われがちですが、これは我々の宣伝不足といってもいいと思います。実際に長距離バスが毎日何便も走っておりますが、これについての情報をいかにもっとたくさんの人々に知ってもらうかが今後の課題であると思います。コミュニケーションの問題に関しては既にたくさんの努力をされ、外国人観光客を受け入れられる様な環境づくりやスタッフの研修などが毎年何回も開催されます。一般な観光ツアー以外に、もっともっと深く台東の文化を掘り下げられるため、お店の方向けに言語のレッスンなども用意されています。今では池上の養蜂場や栗松温泉のガイド、都蘭のSUPスタッフなどと、皆英語で紹介などができる様になっております。もちろん伝統な食など意外にもエキゾチックな料理が県内様々な場所に存在し、特に台東市内や東海岸・都蘭にたくさんあります。この距離でしたら交通面の不便もそこまで感じることがなく、自転車でも通えるようなお店がほとんどです。海より山が好きな方も、もちろん問題なく台東を楽しむことができます。TTFREEを頼りに縦谷方面へ向かうと、日本統治時代から今までの台湾の歩みが凝縮された文化や風景の旅を体感することができます。

このように台東はインフラを強化しつつ、もともと持っている強みをもっと海外の方にも認識される様な努力を進めており、デジタルノマドを受け入れる試みも続けております。さぁ、自宅に籠ることを拒み都会の喧騒に疲れを感じたら、デジタルノマドという新しい選択肢に乗り出し、台東で最高の体験をしてみませんか。

顧問コラム台東暮らし:
3年ぶりの日本 顧問の在り方とは
このコーナーは私が日本人として台東での体験や感じたこと、エピソードなどを綴る文化観察系の記事:「顧問コラム」になります。今回のテーマはコロナ禍が勃発して以来初の日本出張についての内容になります。ぜひご覧ください。

振り返ること2019年10月、宮城県/岩手県/三重県/そして愛知県のハードスケジュールな出張を終えて以来、新型コロナウィルスが急速に世界中で拡散してしまったためずっと日本へ戻ることが出来ずにいました。自分の中で思っている国際交流として対面でお話をすることをとても重要視してきましたが勿論それが出来ずメールやウェブミーティングに頼り、コロナ禍で新たに生まれた交流の方式を模索しながら不安を抱え続けなんとか凌いできた3年間でした。様々な試みを重ねながらタイミングを待ち、やっと水際対策の緩和を迎えることが出来、やっと3年ぶりに日本へ戻ることが叶いました。

職員として週5で県庁にいる顧問の私以外に「国際事務推進委員会」と言うもう一つの顧問団が存在し、唯一の日本代表として一青妙様が顧問委員にあたります。一青氏のご好意により本年度から茨城県大子町の生瀬小学校が台東県金峰郷介達小学校とオンラインで毎週交流するようになり、今回の出張の一つ目の目的地として生瀬小学校を実際に訪問させていただきました。先生方や子供たちは温かく私を受け入れ、私の台東紹介を楽しそうに聞き色々な質問をされ、私は久々に感動を覚えました。その後は裏で生瀬小学校を支えている大子町庁舎にも向かい、副市長にもお会いすることが出来、これぞまさに私の分野です。副市長と対日交流について言葉を交わし、もし来年の企画が順調に通れば、台東で生瀬小学校の皆様や大子町役所の方々とお会い出来るかもしれません。その時がきましたら、生瀬小学校でいただいた感動を倍で返せたらいいなと思っています。

そして入庁して以来からのお付き合いになる方とも東京でお会いすることが出来ました。この方は日本で会社を立ち上げ、主に台東県の物産を日本に輸入・販売され、台湾にいた頃から農業の改善などの面でずっと台東県のお力になってくださり、日本で事業を始めても台東を引っ張ってくださり、今でも新たなビジネス機会を切り開いてくださっております。ここ数年間で台東には新たな物産が増え、今後輸出できそうな品物についてお話をしました。

この仕事を始めてからたくさんの方々と知り合い、そこからまた違う方に繋がったりと、本当に恵まれていると常に思います。もう一つの例として、2019年に岩手県奥州市の及源鋳造様と台東で共にイベントを共催し、イ山形県鶴岡市出身で世界的にも知名度のある奥田政行シェフと彼の右腕である土田学シェフが参加され、実際に産地を回ったり台東の特別な農産物を見たり食べたり、とても充実な二日間でした。帰国された後も台東の物産を忘れられずぜひ海塩を使ってみたいと言われ、お試し用に送った結果とても喜んでくださり、今回の出張でも及源鋳造様のおかげさまでご多忙なシェフにお会いすることができた上、原住民が使用している塩の代替品をお渡しすることが出来ました。その味にシェフは絶賛し、今後お店に取り入れることを前向きに考えてくださりました。 

人と人の繋がりから新たなご縁が生まれる、このことに再度実感が湧いてきた充実な出張でした。顧問とは県庁内で翻訳や通訳を行う以外、こうした繋がりを大切にして、もっとたくさんの可能性に変えてゆくことが大事ではないでしょうか。これらのご縁により自分の仕事をさらに誇りに思い、今後の課題にまた向き合えるような気がします。

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顧問コラム台東暮らし:
3年ぶりの日本 顧問の在り方とは
台東の南は今、これまでになかった注目を浴びでいます。デジタルノマド向けのインフラ強化を始め、UターンやIターン青年への支援、そして数年かけて完成された道路工事など様々な面に力をいれ、暮らしを豊かにする企画が推進されてきました。今まで台東から屏東の区間の公道はその狭さより不便と思われておりましたが、今年9月にようやく道路拡張プロジェクトが完了し、運転し易くなったのみならず所要時間も30分短縮され、この公道を利用する車両が右肩上がりになっています。

交通の利便性が上がる一方、観光客や県民のニーズに備えるべく、台湾東部最大級の道の駅『大武のココロ:南廻驛』が2022年10月に完成されました。2年・4億元という大規模なこのプロジェクトは東海岸で前例のないものであり、560坪の建物にはショッピング/フードコート/休憩エリアなどと西側の高速道路にあるサービスエリアに匹敵し、他の道の駅にはない太平洋の絶景を堪能できる展望デッキが2階にあります。大武漁港の近くに位置するこの展望デッキからは見渡す限りの青空と白い雲、そして裏にはエメラルド色の山々、壮大な太平洋の水平線を背景に目を引く素晴らしい海の景色を眺めることができます。

タイトルで「チームアップ」と書いてありますが、提携の話は遡ること2022年3月、MUJI台湾の経営陣が台東を訪れ初めて台東県政府と顔合わせされた時になります。お互いの理念や台東に対する思いを交換した結果、方向性が一致しているためチームアップすることになり、台湾で初めて正式に提携を組む地方自治体にもなります。無印良品と日本新潟県上越市の経験を活かし、台東の地域の活性化や施設・空間の有効利用、地域資源を活用した産業振興が期待されています。コロナ禍以前より様々な課題がありましたが、一段と努力が必要とされているこの時代に県政府と無印良品が今後どのように力を合わせて台東を盛り上げていくか、どうか楽しみにしてください。

近年台九線公道の草埔森永トンネルが貫通し、南から台東に向かう交通が徐々に便利になりました。県政府も地方を盛り上げようと南廻芸術祭や部落ツアーなどを開催し、旅客にもっとディープな原住民文化を体験できる努力を行い、今後もさらに一段と豊富な南廻地区の観光や物産を皆様にお送りできればと思います。

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03/05~03/06
  • Loving 197 ロードバイク・レース
03/19~03/20
  • 都蘭海角カフェ クリスマスマーケット
04/22~04/23
  • 2023 台東カウントダウン・ライブ
04/23~04/24
  • 2023 初日の出 in 太麻里
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