原住民部落の自主管理 |
台湾にとって新型コロナウイルスの第二波感染拡大はとても急でほぼ手に負えない状況で訪れ、5月の半ばから感染者数が上昇し、19日には感染警戒レベル3になり、自主規制が開始されました。過去に重症急性呼吸器症候群やH1N1に見舞われた経験のある台湾の中、特に厳しい状況にあるのが原住民部落です。その理由として一番目立つのが2点、部落が所在する村から市街地の大型病院まで遠いのと部落の高齢化にあります。医療施設に限りがある台東ではいくつかの診療所が山の中まで入り受診を提供しておりますが、一国を争うような緊急事態が発生した場合はほとんどどうしようもありません。
今回の感染拡大に備え、様々な面で痛い思いをしてきた原住民部落は新たな動き、すなわち村の自主閉鎖に繰り出しました。登山や沢登で必ず通るような部落がそれぞれ策を練て、外からの感染をいち早く食い止めようと努力されたのです。夏の暑さを逃れる避暑地として有名なタルマック村も自主的に村の出入り口で検疫所たるものを設置し、観光客を一切入れないことにして、住民が出入りする場合もきちんと記録を残すようにされています。さらに太麻里ではもう一歩先までの対策が行われ、村の周囲に手書きの看板を設置し、感染予防や対策を呼びかけました。看板は中国語と原住民の言葉で書かれ、これにより年配の方々は手洗いや消毒、マスクの着用やソーシャルディスタンスの大事さを学び、感染拡大を防ぐ上で大きな効果が得られたと思います。原住民の高齢者の中、部落文化健康センターを頼りにしている方々が多く、交流や憩いの場として不可欠な役割を果たしていました。今回のウイルス拡散のためやむをえず閉鎖しなければなりませんが、その機能を頼る方達が困らないようたくさんの調整を重ねた結果、職員による「ケア電話」や本来施設で昼食をいただく方に配達するなどと、色々な工夫が見えます。 無論、これらの自主的な規制や方針には県庁もとても支持しております。知事も6月4日に部落を視察し、自分たちから進んで部落を守る人々へ感謝の気持ちを告げました。原住民の部落では他より厳しい対策を実行されていますが、それも部落に住む高齢者や子供たちのため。 |
コロナに直面する医療従事者に感謝を込めて |
感染対策でいつも最前線に立つ医療従事者たち。第1線で戦うだけ無論新型コロナウイルスに感染されるリスクが一番高く、それだけプレッシャーも重い。そのような彼らを支えるべく、食料品から医療物資の寄付などとたくさんの人々が動き出しています。企業や法人のみならず、資源がそれほどない一般の方々も自分のできる範囲で知恵を振り絞って力を出し合うところがまさに台湾の人情味ではないでしょうか。
例として、台東には「牧心智能発展センター」という障害者の雇用を提供する組織があります。台湾は5月より自主規制が始まり、牧心に所属しているパン屋やレストランは一時休業という実質上の閉鎖を迎え、もとより生活に様々な不自由のある従業員たちは収入が絶えてしまう危機に晒されました。そのため経営陣は新たなビジネススタイルを編み出し、感染防止しながら従業員の生計をサポートする計画を発足。6月2日を皮切りに、個人寄付の方式で集まった資金で牧心は毎日250個の高タンパク質弁当を台東4つの病院に送り、現時点で既に10000個分の資金が集まっており、全て配布されるまで送り続ける予定です。そして飲み物の寄付も同じくほぼ毎日のように提供され、感染リスクを減らすために泊まり込みでコロナ患者を受診している医師や看護師にとって、これらの寄付は暫しの休息を与えられます。 食料品以外、医療従事者が一番必要とするものは医療物資です。コロナウイルス感染者の受診にあたり、医師や看護師は患者と接触する度に防護服やマスク、ゴーグルを交換しなければなりません。国から配当される部分もありますが、物資不足のため使用期限や回数が切れても換えられないという状況がある病院もあります。そこで台東市内にあるメガネ屋さんは病院にゴーグルを寄付し、少しでも力になれたらと多くの人々が医療物資の寄付に乗り出しました。 新型コロナウイルスの収束がいまだに見えない中、一人一人ができることは一体なんでしょうか?防疫対策を確実に実行し、自分自身や身の回りの人々ができる限り感染しなければ、医療従事者たちがいち早く楽になり、皆様も元の生活を取り戻せるのではないでしょうか。 |
自主規制の風が吹くなか 飲食店にも変化が |
世界で新型コロナウイルスの感染が拡大し始めてから既に一年半以上経つ中、生活面のみならず様々な産業にも多大な影響を与えました。例えば通勤を感染拡大の原因の一つとして看做されているため、多くの一般企業では出社する代わりにテレワークという選択肢が増やされました。そして日本の場合、緊急事態宣言に伴い酒類を提供する飲食店への休業要請とそれ以外の飲食店への午後8時までの営業時間短縮要請を呼びかけました。では台湾ではどのように対策されていましたでしょうか?
まずは5月中旬まで遡ってみましょう。北台湾で感染がだんだん広がっていく中、海外旅行ができないこのご時世で一番人気のある観光地:台東でも変化が起きていました。お客さんの実名登録は早い段階で普及し、店内での飲食が感染につながるため、台東の飲食店では先駆けて自主的にイートインを禁止するお店が出てきました。そのおかげで5月末に政府より全国の感染警戒レベルが3まで上げられ、国の方針で飲食のイートイン全面禁止要請が出た際には既に対応ができているお店がほとんどでした。台湾の食文化は日本に似てご飯や麺類が多く、例えばルーロウハンや乾麺などこれらの物はとても気軽に持ち帰りができますが、そうではない種類の食べ物もたくさんあります。とはいえ商売は続けなければなりませんので、業者さんたちは知恵を振り絞って自分たちの店のスタイルや味を保ちつつ、お手頃な価格でお客さんに失礼のない弁当を作り出しました。高級ホテルの料理店から街中の居酒屋、今まで考えられなかった「ラーメンのテイクアウト」まで見れるようになり、自粛期間でもグルメを楽しむことができます。 さらに近年爆発的に普及してきたフードデリバリーサービスのお陰で、『感染警戒レベル3で不要不急な外出をやめるように呼びかけられている中でも、熱々の美味いものが食べたい。でも休校のため子供たちも家にいる。子供たちを置いて自分で買いに行くわけにもいかない。』などといった悩みを抱えた家庭も救われたことでしょう。そして防疫上できる限り接触を減らすため、支払いは全てクレジットカードやデビットカードのみになり、配達員と対面せず自宅の外に置いてもらうこともできるようになりました。コロナの危機は未だに存在しウイルスも変異してさらに強くなっていますが、人々が考えを巡らせて、できる範囲で本来の社会を保つことができれば、きっと元の生活を取り戻せる日がやってきます。 |
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※新型コロナウイルスの関係により変更がある可能性があります。詳しくは各主催者のホームページなどでご確認ください。 |